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【書籍】女の子たちと公的機関 ロシアのフェミニストが目覚めるとき
¥2,000
2022年度ふぇみ・ゼミ連続講座「ソ連以後を闘う女性たち~政治という暴力がもたらすもの」にて講師を努めてくださった高柳聡子さんが翻訳された書籍です!! ダリア・セレンコ, クセニヤ・チャルィエワ 絵, 高柳聡子 訳『女の子たちと公的機関 ロシアのフェミニストが目覚めるとき』エトセトラブックス(2023年) ■概要 「親愛なる女の子たち、私たちには決死のストライキが必要だよ。 生きていることが耐えがたくなったよ」 プーチン政権下で「国の道具」にされてきた 非正規雇用の〈女の子〉たちが覚醒する。 ウクライナ侵攻前夜に書かれた、フェミニスト誕生小説 ロシアの作家でフェミニスト、反戦活動家であるダリア・セレンコが描く、プーチン政権下の「公的機関」で働く女の子たちの物語。国にとっては安上がりな道具に過ぎないけれど、私たちがいなければこの国は動かないのでは? 国家と社会の歪みを、日々、身体で受け止めていた彼女たちは、ついにその理不尽さに気づき……。 反戦活動による政権からの弾圧を経て、現在出国中の著者による「日本語版のためのまえがき」掲載。 ■著者について ダリア・セレンコ 1993年ハバロフスク生まれ。ロシアの作家、詩人、フェミニスト、反戦活動家。4歳からはシベリアのオムスクで育ち、16歳で文芸誌『昼と夜』で詩人としてデビュー。ゴーリキー文学大学在学中にも多数の賞にノミネートされる。2017年に第一詩集『図書館の静寂』を刊行、ロシアの「フェミニスト詩」を代表する詩人となる。卒業後はモスクワのネクラーソフ図書館や美術館など国立の文化施設に勤め、実体験を元に、2021年本書を発表。活動家としては、2016年に始めたアクション「静かなピケ」、2020年に創設したLGBTQ活動家の休息施設「フェムダーチャ」で注目を集める。2022年2月初旬に活動を理由に逮捕されたが、釈放と同時にウクライナへの軍事侵攻に反対する「フェミニスト反戦レジスタンス」を組織。執拗な弾圧やヘイトを逃れて2022年3月にジョージアに出国。 クセニヤ・チャルィエワ 1990年モスクワ生まれ。画家、イラストレーター、詩人。フェミニストの詩集やジェンダー関係の書籍のデザインも手掛けている。モスクワ在住。 高柳聡子 ロシア文学研究者、翻訳者。早稲田大学大学院文学研究科博士課程修了。現在は非常勤講師。専門は現代ロシア文学、フェミニズム史。主な著書・論文は、『ロシアの女性誌 時代を映す女たち』(群像社)、「ソ連後期のフェミニズム思想とドストエフスキー」(『ドストエフスキーとの対話』水声社)、「フェミニストはなぜ戦争と闘うのか」(『現代思想』2022年6月臨時増刊号)など。訳書にイリヤー・チラーキ『集中治療室の手紙』(群像社)、『現代ロシア文学入門』(共訳、東洋書店)など。ロシア語圏における女性たちの声を歴史に残すことを課題としている。
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【講座映像販売】連続学習会:教育を問い直す~ジェンダーと民主主義の視点から~
¥1,500
本商品は2021年度に開催された「連続学習会:教育を問い直す~ジェンダーと民主主義の視点から~」の録画映像です。第5回、第10回以外の回を販売しております。購入する際に「商品の種類」を選択する画面がございますので、そこでご希望の回をご選択ください。ご購入いただいた方には、メールにて動画視聴用URLをお送りいたします。なお、視聴期間は映像をお送りした日から2週間です。 ■配信動画の視聴に関する注意事項 映像・資料のコピーライトはふぇみ・ゼミにあります。 無断転載は固くお断りいたします。 もしそのようなことが起きれば、ただちに配信は停止します。 参加者間の信頼の上で、映像配信が成り立つことをどうぞご理解ください。 -----------------各回情報----------------- 【第1回】 ■テーマ『「慰安婦」問題を中学生が学ぶということ』 ■講師:平井美津子さん 子どもと教科書大阪ネット21事務局長。現在、大阪府公立中学校教諭、大阪大学・立命館大学非常勤講師。専門研究は、アジア太平洋戦争下における日本軍「慰安婦」、沖縄戦研究。著書に、『「慰安婦」問題を子どもにどう教えるか』(高文研)、『原爆孤児 「しあわせのうた」が聞こえる』(新日本出版社)、『サンフランシスコの少女像 ~尊厳ある未来を見つめて~』(日本機関紙出版センター)、『戦争孤児たちの戦後史2』(吉川弘文館)。2020年4月韓国で『「慰安婦」問題を子どもにどう教えるか』が翻訳出版された。 ■内容 「慰安婦」をネット上で検索してみると、嘘で固めたかのような否定とヘイトの言説ばかりが登場する。そこへ反日種族主義現象も相まって、「慰安婦」問題は韓国が外交カードとして日本に難癖をつけるためのものであるかのように主張する声も広がっている。何も知らずにいたら、そういう言説にからめとられていくことは必至である。中学生のうちにこそ、こういった問題を本質的に学ぶ必要があるのではないだろうか。実際にこれまで中学生に教えてきた「慰安婦」問題について、報告したい。 【第2回】 ■『子どもの成長・発達に必要な性の学びを取り戻そう~都立七生養護学校「こころとからだの学習」裁判勝利判決を力に~』 ■講師:谷森櫻子(たにもり ようこ)さん 福島県県外避難者相談センター・相談員、“人間と性”教育研究協議会(略称:性教協)会員、にいざジェンダー平等ネットワーク代表等。大学で社会福祉学を学びながら養護学校の教員免許を取得し、1970年から障碍児教育に携わる。障碍児の全員就学・発達保障運動や性教育、虐待・暴力防止教育など実践・研究する。2003年、都立七生養護学校・性教育への3都議・都教委の不当介入時から、性教協本部幹事として係わる。 ■内容 1992年度から小学校5年の担任が理科と保健で性教育(学習指導要領では「性に関する指導」)を行うことになりました。 知的障がい児が通う都立七生養護学校(現特別支援学校、以後「七生養護」)は、約半数が隣接の入所施設から通っています。七生養護は子どもたちに自己肯定感を育みたいという思いから「こころとからだの学習」を始め、2001年・02年の障害児学校校長会・教頭会主催、都教委後援の夏季研修会で七生養護の実践が紹介され、03年の夏季研修会では七生養護の教員が講師に予定されていました。 ところが、03年7月2日、ある都議が都議会本会議で「不適切な性教育」が行われていると質問。2日後には都議らが都教委と産経新聞記者を同行して七生養護を「視察」。養護教諭を侮辱・恫喝し、保健室に保管されていた教材は都教委が持ち去りました。 そして、産経新聞は下半身を露わにして床に並べられた教材人形の写真と共に、「過激な性教育 まるでアダルトショップのよう」と報道。都教委は「不適切な性教育を行った」と、教員を「厳重注意」処分にし、指導計画の変更や教員の異動を強制し、「こころとからだの学習」を破壊しました。20年前の東京で起きたこの不当介入事件の詳細やその後の七生養護の教員・保護者の対応については、4月14日のセミナーで! 【第3回】 ■『「日の丸・君が代」と学校教育』 ■講師:根津公子さん 元東京公立学校教員。 ■内容 卒業式・入学式が「『日の丸』に正対し『君が代』を斉唱する」ことから始まるのは当たり前、でしょうか。新型コロナ禍での昨年度の東京公立学校の卒業式でも、感染防止のため、参列者の制限や時間短縮の措置がとられました。しかし、飛沫感染の恐れのある、「君が代」斉唱を東京都教育委員会は各学校に指示し、呼吸器疾患の子どもがいる特別支援学校さえもがそれに従いました。「命よりも『日の丸・君が代』優先」の教育行政の意図は何なのでしょう。そもそも、学校教育に「日の丸・君が代」を強制し、それに従わない教員を処分する意図は、それに対する司法判断は。皆さんで考え合いたいと思います 【第4回】 ■『「内申書裁判」が教育行政・教育界に与えた歴史的意義』 講師:保坂展人(ほさか・のぶと)さん(世田谷区長) 1955年11月26日、宮城県仙台市生まれ。中学校卒業時の「内申書」をめぐり、16年にわたる内申書裁判の原告となり、そこから教育問題を中心に取材するジャーナリストとして活躍。 1996年から2009年まで衆議院議員を3期11年務め、546回の国会質問で「国会の質問王」との異名をとる。 2011年4月より世田谷区長(現在3期目)。世田谷区長としての取り組みをまとめた『88万人のコミュニティデザイン』(ほんの木)、『〈暮らしやすさ〉の都市戦略』(岩波書店)、『NO!で政治は変えられない』(ロッキング・オン)など、著書多数。 【第6回】 ■『民族教育と図工、美術教育の可能性』 ■講師:金明和さん(朝鮮学校非常勤教員、アーティスト) ■内容 朝鮮学校という民族教育の土壌で、新しい道を開拓している図工、美術教育。図工、美術教育が、いかにしてこどもの心の成長を促す場になっているのか、授業の成り立ちやコンクール出品作品を通して考えます。 【第7回】 ■『戦後における制服自由化と再制服化(清重めいさん)、わたしの丸刈り校則廃止運動(宮脇明美さん)』 ■講師:清重めいさん、宮脇明美さん ■清重めいさんプロフィール: 東京大学教育学研究科教職開発コース博士課程1年。専門は日本教育史(学校制服、裁縫教育など)。 ■宮脇明美さんプロフィール: 1959年 熊本県生まれ 1980年 熊本短期大学保育科卒業 1985年 東京で夫とソフトウェア開発の事業を始める 1993年 熊本県阿蘇郡西原村に引っ越す 1995~2001年 自宅で子ども中心のパソコン教室を開く 1998年 中学校の丸刈り校則廃止運動を始める 2000年~現在 ホームページ「中学校の丸刈り校則をなくす会」を立ち上げる 2003年 「丸刈り校則をぶっとばせ 熊本・丸刈り戦争」を出版 現在、熊本県阿蘇郡西原村に住み、夫、次女、猫の4人?暮らし。幼稚園勤務の保育教諭。趣味は音楽(ロックバンドのボーカル)。 ■内容 (清重めいさん) 現在中学校・高校、そして一部の小学校において当たり前のように着用される学校制服。現在一般的に使用される洋装制服普及の始まりは、男子制服は明治期、女子制服は大正期へと遡る。制服に関する研究は、歴史的変遷を明らかにしたものと現在の制服に関する意識調査の2種が存在する。本発表では前者の形をとり、1960年代から2000年代にかけての①都立高校の制服の動向、②制服に関する議論の変遷の概要を紹介する。特に1960年代末から1970年代初頭にかけての高校紛争を軸とした制服自由化の流れと、2000年代以降の再制服化の流れを中心に扱う。このような歴史的研究を通して、今日の学校制服の在り方の課題を制服の持つ歴史的背景、そしてジェンダーの視点も絡めながら参加者の皆様と共に検討したい。 (宮脇明美さん) 中学校の丸刈り校則とは、「男子生徒の髪型は、 全員丸刈りにしなければならない」という校則(生徒心得) ほとんどの中学生に髪形の自由が認められているのに、 一部の中学生だけが強制的に丸刈りにさせられている。 中学校の「丸刈り校則」は残酷まりない校則。 子どもの人権を完全に無視した校則である。 私は、1998年から中学校の丸刈り校則の廃止活動を始めた。 きっかけは、 私が開いていたパソコン教室の生徒の悲痛な声だった。「 どうして中学生なると丸刈りにならなきゃいけないのか。 嫌がって長髪校に引っ越す友達がいて悲しい。 なんとかしてほしい。」など。当初、熊本県では、 公立中学校195校のうち105校に丸刈り校則が存在していた。 2006年に全廃。決め手は私の「人権救済申し立て」 により弁護士会の廃止要請や廃止勧告だと思う。 ネットニュースや地域のテレビニュース、 新聞などで大きく取り上げられ、 多くの人にこの丸刈り校則の問題を知ってもらえた。 全国的に全廃されたと思っていたが、2018年、 岩手県の3校で存在を知り電話で抗議。 2019年に3校とも廃止された。 丸刈り校則は過去のものと思っていたが、 未に私の知らないところで存在し、 子どもたちを苦しめているかもしれない。 【第8回】 ■『脅しと騙しの少子化対策――高校保健・妊活教材事件とその後』 ■講師:西山千恵子さん(青山学院大学ほか非常勤講師。「高校保健・副教材の使用中止・回収を求める会」共同代表、「足立・性的少数者と友・家族の会」共同代表。) 共編著に『首長たちの挑戦―女が政治を変える』(世織書房、2016)。 『文科省/高校「妊活」教材の嘘』(論創社、2017)、共訳にアン・ファウスト-スターリング著『セックス/ジェンダー』(世織書房、2018)。 ■内容 行き詰った少子化対策は、学校教育をターゲットにし始めてきた。その第1弾が2015年、文科省から全国配布された高校保健・副教材。そこには「女性の妊娠しやすさ」ピークを22歳とする改ざんグラフなど、高校生を騙しと脅しで「若いうちに産ませる」内容が仕込まれていた。その後も「卵子の老化」グラフや、ライフプランなどを教える学校教育や自治体の「啓発」施策が「人口政策」の現場として狙われている。一緒に見直してみませんか? 【第9回】 ■『欺瞞的な「多様性理解」を越えて』 ■講師:星加良司(ほしか りょうじ)さん 東京大学大学院教育学研究科附属バリアフリー教育開発研究センター 准教授。博士(社会学)。研究テーマは、障害の社会理論、多様性理解教育等。主著に『障害とは何か』(生活書院)、『合理的配慮』(有斐閣〔共著〕)、『カリキュラム・イノベーション』(東京大学出版会〔分担執筆〕)他。 ■内容 「ダイバーシティ」が時代のキーワードとなる中で、学校、企業、行政機関等を舞台として、多文化、LGBT、障害等の多様性を「理解」するための教育・研修が盛んに行われるようになっています。では、そこで「理解」の対象とされる「多様性」は、あらゆる多様性を含みこむことになっているでしょうか?そうでないとすれば、その選択・選別はどのような社会的文脈に規定されているのでしょうか?さらには、特定の特性を「理解」の対象として設定する営みの中で、「理解」する主体の側が問い直される契機は生まれるのでしょうか?この講座では、これらの問いを通じて、現在の「多様性理解」が拠って立つ足場の危うさについて考えます。
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オリジナルミニ鏡
¥500
鏡の裏にフェミニストのメッセージがデザインされた鏡です! サイズ:直径7cm
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【運営委員・寄稿】『f visions』No.5【特集】深まる軍事化の影で――生存をささえる政治の課題とは
¥1,400
国際平和の基本原則を公然と無視したロシアによるウクライナ侵攻は、世界中に大きな波紋を広げている。軍事的安全保障の加速、エネルギー・食糧安全保障の懸念の中で、農民、都市貧困層、民族マイノリティ、女性、性的マイノリティの人々の安全はますます脅かされている。 ここ日本でも、軍事力増大と改憲の主張は与野党を問わず高まっている。すでに軍事大国である日本が憲法9条という歯止めを外すとなれば、東アジア地域における軍事的緊張を高め、さらなる軍事化を招くジレンマは深まるだろう。それでも、戦争のできる国に向けて改憲を叫ぶ勇ましい声は、7月の参議院選挙を経ていっそう高まっていくと予想される。 このような政治的変化の中で、どんな抵抗が可能なのだろうか。国家の軍事的安全保障の論理によって見えなくされる人びとの安全保障の課題とは何か。参議院選挙が目前に迫るなか、選挙の後を見据えて運動の課題を再確認したいと、この特集を組んだ。(「特集にあたって」より抜粋)
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【運営委員・書籍】「社会」を扱う新たなモード 「障害の社会モデル」の使い方
¥2,200
この「社会」は偏っている!! 時に小さく時に大きく「社会」の範囲を見積ることで「偏り」を隠微に維持しようとする権力装置。 矮小化された「障害の社会モデル」理解をアップデートすることによって、 「マジョリティ性の壁」を見定め突き崩すための思考の在り方=新たなモードを提示する。 公式ページ:https://seikatsushoin.com/books/mode/ 【目次】 はじめに 飯野由里子 序章 「社会」の語り口を再考する 星加良司 1 「社会モデル」のいびつな普及 2 「社会/個人」をめぐる認識の政治 3 本書の構成と射程 第1部 「社会モデル」でみる現在 第1章 当事者研究と「社会モデル」の近くて遠い関係 西倉実季 1 当事者研究の展開 2 熊谷と綾屋の「社会モデル」理解 (1)熊谷による当事者研究に関する議論 (2)綾屋によるソーシャル・マジョリティ研究に関する議論 3 身体と社会の無造作な二分法 4 ソーシャル・マジョリティ研究における危うい線引き (1)個人/社会の線引き (2)可変/不可変の線引き (3)帰責/免責の線引き (4)小括 5 「社会」の過小性、「個人」の過大性 第2章 「心のバリアフリー」は毒か薬か 飯野由里子・星加良司 1 「心のバリアフリー」のリバイバル 2 「心のバリアフリー」の系譜 3 心のバリアフリーの新旧パラダイム 4 新パラダイムに潜む問題(1)――普遍化のレトリックと「不均衡」の不可視化 5 新パラダイムに潜む問題(2)――「能力発揮」という理念と「不均衡」の再生産 6 共生社会の両義性 第3章 性の権利は障害者の味方か? 飯野由里子 1 性の権利と「社会モデル」 2 性の権利とは何か? 3 「ホットでセクシーであれる権利」 4 性の権利の連動性 (1)性の二重基準をめぐって (2)性被害・性暴力をめぐって 5 性的自由の前提条件 第2部 合理的配慮と社会モデル 第4章 合理的配慮は「社会モデル」を保証するか 星加良司 1 忍び寄る「個人モデル」 2 合理的配慮の二つの解釈 3 合理的配慮の意図せざる効果Ⅰ――医学的基準の焦点化 4 合理的配慮の意図せざる効果Ⅱ――機能アセスメントの強化 5 合理的配慮の意図せざる効果Ⅲ――専門性による囲い込み 6 「社会モデル」を取り戻す 第5章 社会的な問題としての「言えなさ」 飯野由里子 1 「ニーズが言える社会」へのとまどい 2 「ニーズを言えるようにする」アプローチとその問題 (1)「個人に働きかける」アプローチ (2)「環境を変えていく」アプローチ 3 障害の開示とスティグマの問題 4 なぜインペアメントが「ある」ことを疑うのか? 5 なぜ合理的配慮が提供されないのか? (1)障害による困難を不変なものとする誤解 (2)困難に対する不適切な理解 (3)いまある状態の正当化 6 何のための「社会モデル」か? 第6章 変えられる「社会」・変えたくない「社会」 西倉実季 1 狭く解釈される合理的配慮 2 紛争化した事例 (1)事例1:バニラエア問題 (2)事例2:代筆投票問題 3 社会モデル理解の問題点 (1)αの問題について (2)βの問題について 4 マジョリティ問題としての合理的配慮 (1)ルールは絶対的・中立的であるという人に向けて (2)自分が負担を負うのは納得できないという人に向けて (3)ルールが偏ったままで構わないという人に向けて 終章 「社会モデル」を使いこなす 飯野由里子 1 本書の立場――「社会モデル」の要諦 2 「社会」の過小性が生み出す問題 (1)「発生メカニズムの社会性」の軽視に伴う問題 (2)「発生メカニズムの社会性」を狭小化に伴う問題 3 「社会的なもの」の範囲をめぐる政治 4 マジョリティ性の壁を崩す おわりに 西倉実季
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【運営委員・書籍】ハッシュタグだけじゃ始まらない 東アジアのフェミニズム・ムーブメント
¥1,800
今・話題 ふぇみ・ゼミ運営委員が編者です。 中国、韓国、台湾、香港の4地域で沸き起こるフェミニズム運動を一挙紹介。豊富な写真と当事者の寄稿が伝える苦闘と創造の記録。 毎日新聞:https://mainichi.jp/articles/20220514/ddm/015/070/026000c
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【運営委員・書籍】右傾化・女性蔑視・差別の日本の「おじさん」政治
¥1,770
紹介 戦前の体制を美化し、教育改革などにより右傾化を進め、女性蔑視・民族差別・を容認し、その仲間内で利益を分け合う、そんな長老たちが担っている現在の政治の特徴を「おじさん政治」と捉え、そのような政治を引き継いで行くのか?その岐路に、いま立たされていることを説く。 目次 目次 はじめに 3 教育の右傾化と「おじさん」政治 9国旗国歌の法制化への道 11 国旗(日の丸)国歌(君が代)の法制化と教育基本法について 15 教育基本法の改正 48 危機に陥る民主主義 79 セクシュアル・マイノリティ 99 日本の政治を取り戻す……おじさんたちから 113 安倍政権の特徴 115 今の日本社会を映す「慰安婦」問題 130 家族・家庭への国家の介入 141 ネット社会を考える 155 叩かれる若者たち 158 日本ではなぜレイシズムが理解されないのか 172 レイシズムの危険性 174 社会を変えなければ 生きることはできない 178 「日本型反差別」の問題性 182 インターセクショナリティ 188 「反レイシズム1・0」を勝ち取る闘いへ 191 韓国と日本を考える 196 今の韓国から日本を考える 198 社会運動が韓国を支えてきた 212 デザインの力とフェミニズム 223 社会運動としてのフェミニズム 225 歴史を乗り越える 230 著者プロフィール 前川喜平 (マエカワキヘイ) (著/文) 元文部科学事務次官 おもな著作 『権力は腐敗する』毎日新聞出版、『面従腹背』毎日新聞出版、『これからの日本、これからの教育』(ちくま新書・共著)筑摩書房など多数。 能川元一 (ノガワモトカズ) (著/文) 大学非常勤講師 おもな著作 『海を渡る「慰安婦」問題――右派の「歴史戦」を問う』共著・岩波書店、『右派はなぜ家族に介入したがるのか : 憲法24条と9条』大月書店、など多数。 梁英聖 (リャン ヨンソン) (著/文) 反レイシズム情報センター(ARIC)代表 おもな著作 『レイシズムとは何か』(ちくま新書)筑摩書房、『日本型ヘイトスピーチとは何か: 社会を破壊するレイシズムの登場』影書房、など多数。 梁・永山聡子 (ナガヤマサトコ) (著/文) 大学非常勤講師 おもな著作 『社会学理論のプラクティス』(共著)くんぷる、『私たちの「戦う姫、働く少女」』(共著)堀之内出版、など多数。
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【書籍】ゆる・ふぇみマガジン
¥1,500
研究会でもければ、アート・プロジェクトでもない、まったく新しい空間を提供し続けているゆる・ふぇみカフェ。そんなゆる・ふぇみカフェの運営委員や共感する人々のそれぞれの想いが綴られた一冊です。
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【書籍】ゆる・ふぇみグラフィティ
¥500
過去のゆる・ふぇみの活動を写真で振り返ります!
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【運営委員 関連書籍】差別はたいてい悪意のない人がする
¥1,680
運営委員・梁・永山聡子が編集協力しました! 紹介 あらゆる差別はマジョリティには「見えない」。日常の中にありふれた 排除の芽に気づき、真の多様性と平等を考える思索エッセイ。 目次 プロローグ あなたには差別が見えますか? I 善良な差別主義者の誕生 1章 立ち位置が変われば風景も変わる 2章 私たちが立つ場所はひとつではない 3章 鳥には鳥かごが見えない II 差別はどうやって不可視化されるのか 4章 冗談を笑って済ませるべきではない理由 5章 差別に公正はあるのか? 6章 排除される人々 7章 「私の視界に入らないでほしい」 III 私たちは差別にどう向きあうか 8章 平等は変化への不安の先にある 9章 みんなのための平等 10章 差別禁止法について エピローグ わたしたち 訳者あとがき 解説 韓国における差別禁止の制度化とそのダイナミズム(金美珍)
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【書籍】雨傘女子説
¥1,000
【繁体字中文書籍】 新婦女協進会、2015『雨傘女子説』進一歩多媒有限公司 香港のフェミニスト団体新婦女協進会による、香港で2014年の雨傘運動に参加した女性たちのインタビュー集。
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【運営委員・書籍】クィア・スタディーズをひらく 1 アイデンティティ, コミュニティ, スペース
¥2,530
紹介 「クィア」という視点で世界を眺めたときに、私たちは何に気がつき、誰と出会うのか。 「LGBT」「セクシュアル・マイノリティ」という言葉が日本の文脈で広まっていった過程でとりこぼされてきた問題を掘り起こす試み。 目次 序章 クィア・スタディーズとは何か 第1章 一九七〇年代以降の首都圏におけるレズビアン・コミュニティの形成と変容 [杉浦郁子] 集合的アイデンティティの意味づけ実践に着目して 第2章 クローゼットと寛容 [風間 孝] 府中青年の家裁判はなぜゲイ男性によって批判されたか 第3章 女性同性愛と男性同性愛、非対称の百年間 [前川直哉] Column イスラエルの戦争犯罪に共犯する東京レインボープライドとわたしたち [小野直子(フツーのLGBTをクィアする)] 第4章 コミュニティを再考する [菅野優香] クィア・LGBT映画祭と情動の社会空間 第5章 教育実践学としてのクィア・ペダゴジーの意義 [渡辺大輔] Column 学校でLGBTをどう扱うか―10年間の経緯と、これから [遠藤まめた] 第6章 クィアとキリスト教 [朝香知己] パトリック・S・チェンによるクィア神学の試み Column 同性愛の発見と発明―米軍におけるセクシュアリティの歴史 [高内悠貴] 第7章 怒りの炎を噴く [エイミー・スエヨシ(佐々木 裕子訳)] クィア史におけるアジア太平洋系アメリカ人のアクティビズムを記念して Column 厳しい政治的条件下で手段を尽くして運動をすすめる中国のLGBT [遠山日出也]
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【運営委員・書籍】クィア・スタディーズをひらく2結婚、家族、労働
¥2,530
紹介 同性婚がゴールとされることで隠蔽されるものは何か。 結婚制度の政治性をあぶりだし、異性愛主義的家族規範を問いなおす試み。 目次 はじめに 第1章 国勢調査と同性カップル世帯 [釜野さおり] 排除と可視化のはざまで はじめに 1 海外の人口センサスにおける同性カップル世帯 2 日本の国勢調査と同性カップル世帯 3 同性カップルは国勢調査にどう答えるか―聞き取り調査から 4 同性カップル世帯の扱いをめぐって おわりに―クィア方法論の視点から Column 人権を守るのは誰か [谷口洋幸] 第2章 ようこそ、ゲイ ・ フレンドリーな街へ [清水晶子] スペースとセクシュアル ・ マイノリティ 1 プライバシー・イン・パブリック 2 ヘテロ・スペースのクィアな占拠 3 エキゾチック・ゲイ・タウン 4 スペースなき多様性 Column アジアにおけるクィア・スタディーズの発展とその背景―台湾の事例から [福永玄弥] 第3章 女性同士の《結婚》 [赤枝香奈子] はじめに 1 結婚の重層性 2 雑誌記事に見る女性同士の結婚 3 法律婚としての同性婚を求める動き おわりに 第4章 忘れられた欲望と生存 [志田哲之] 同性婚がおきざりにするもの はじめに 1 性的少数者の誕生と社会運動のはじまり 2 家族への道と「日々の社会的実験」 3 「性の多様性」の欺瞞―欲望とラディカリズムの忘却 おわりに―連帯の不可能性と模索 Column セックスワークとクィア [宮田りりぃ] 第5章 結婚制度の政治性と同性婚 [菊地夏野] 同性婚によって正当化される結婚制度 はじめに 1 同性婚・同性パートナーシップをめぐる現状 2 同性愛者解放運動の理論的位置づけ 3 結婚制度の政治性と構造 4 新自由主義による結婚の変質と同性婚の関連性 5 可視化と隠蔽 おわりに 第6章 天皇制とジェンダー/セクシュアリティ [堀江有里] 国家のイデオロギー装置とクィアな読解可能性 はじめに―時の支配と天皇制 1 皇位継承とジェンダー役割 2 国民統合のイデオロギー装置の構築 3 〈レズビアン存在=反天皇制〉の理念的可能性 おわりに―今後の課題 Column クィアコミュニティと性暴力 [岡田実穂] 第7章 家族の物語からのクィアな逸脱 [長山智香子] 角田光代『八日目の蝉』にみる時間と空間 はじめに 1 作品の概要 2 ラブホテルで作られる母子の絆 3 がらんどうの空間と身体 4 過去想起と妊娠、ジグザグな時間 おわりに Column セクシュアル・マイノリティと地域 [宇佐美翔子]
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【運営委員・書籍】ガールズ・メディア・スタディーズ
¥2,000
紹介 女の子たちはどのように表象され、そして今、自らを表現しているのか? 広告、映画、音楽、メイド喫茶、援助交際、ダンス、ファッション、アート、zine、社会運動のテーマから社会に新たな視座を提示する。 目次 はじめに パート1 表象と解釈 第1章 どんな女の子でもどこにだって行ける :ハリウッド映画における女性表象 1.フェミニズム映画批評の歴史 2.ポストフェミニズム的状況と映画 3.「美しく主体的な女性」と映画 4.『ワンダーウーマン』(2017)と『キャプテン・マーベル』(2019) :2つのアメコミ原作女性ヒーロー映画の比較 (1)原作比較 (2)映画『ワンダーウーマン』(2017)、『キャプテン・マーベル』(2019)比較 5.まとめ 第2章 広告の “もうひとつ” の光景 :多様化する女性表象とオーディエンス 1.広告メディアに潜むジェンダー表象と新しいメディア・コミュニケーションの誕生 2.ジェンダー表象の変容とそれらをめぐる議論 (1)メディアにおける女性像、性別役割分業への批判の始まり (2)「女性とメディア」研究の発展 (3)「女性とメディア」研究から「ジェンダーとメディア」研究へ 3.化粧品広告における女性の美 (1)身体美の4要素 (2)「あこがれ」としての「東洋美」の表れ 4.規範への「抵抗」を表現する広告とSNSの可能性 (1)SK-Ⅱのキャンペーン広告「運命を、変えよう。#changedestiny」 (2)ポストフェミニズムにおける女性表象 5.まとめ 第3章 ジェンダーの視点からポピュラー音楽を読み解く 1.音楽産業界における女性たち:日本とアメリカ (1)アメリカ産業界における女性たち (2)日本の音楽産業界における女性たち (3)2010年以降の女性ミュージシャン 2.音楽とジェンダー批評に関する学術的アプローチ (1)表象文化的アプローチ (2)文化産業論的アプローチ (3)音楽史・音楽社会学的アプローチ (4)聴くことにおける能動性 3.現代の日本のアーティストの事例から考えてみよう (1)ジェンダーバイアスを再生産するもの (2)従来の「かわいい」に抗する 4.まとめ 第4章 メイドカフェ店員のSNSブランディング :アイデンティティの維持管理という時間外労働 1.メイドカフェにおけるSNS利用という現象 (1)メイドカフェとはどのような場所か (2)メイドカフェ店員がSNSを利用する理由 (3)女性のSNS利用とメイドカフェでの労働 2.インタビューからみるメイドカフェ店員によるSNS労働の実態 (1)メイドのSNS利用についてのインタビュー (2)時間外労働であり営業ツール (3)メイドとしてのアイデンティティの維持 3.デジタルメディアを用いた情動労働 :アイデンティティの表象、可視性、セルフ・ブランディング (1)「情動労働」と「やりがいある仕事」 (2)メディアを通した「自己表象」とアイデンティティ (3)可視性と望ましい「女らしさ」 4.フィールドのなかでインタビュー調査を行うコツ (1)フィールドに足繁く通い、気づいたことをメモに残す (2)フィールドのなかにいる人と交流する (3)実際にインタビューを行う 5.まとめ 第5章 女子高生ブームと理解による支配:援助交際をする〈美少女〉 1.1990年代の女子高生ブーム 2.『制服少女』の援交女子高生論 (1)『制服少女』の援交女子高生論 (2)傷をめぐる誤謬 3.援交女子高生論と男性性 (1)援交女子高生を擁護した動機 (2)新『制服少女』における主張 (3)『〈美少女〉の現代史』の議論 (4)〈美少女〉としての援交女子高生 (5)ヘゲモニックな男性性論 (6)男性性の一考察としての〈美少女〉論 4.社会調査の心得 5.理解による支配と現代社会 パート2 交渉と実践 第6章 メディアをまとい闘うBガール 1.「ストリート」を男性的な空間として構築するジェンダー構造 (1)メディアによって「女性化」される女性アスリート (2)「ストリート」は本当に「誰にでも開かれた」空間か? (3)「ストリート」で踊らなくてもBガールになれる? 2.Bガールの実践を読み解くために (1)「まなざし」 (2)ジェンダーを「する」 (3)「エンコーディング/デコーディング」 3.「ストリート」と闘うBガールの実践を分析してみる (1)ストリートダンスバトルにおける「支配コード」 (2)「支配的な読解」を裏切るためのジェンダー・パフォーマンス 4.まとめ:ダンスからジェンダーを考える 第7章 ファッションとInstagram 1.Instagramをめぐる新しいコミュニケーション 2.ファッション・メディアの変遷 (1)ファッション雑誌の変容 :雑誌モデル、読者モデル、ストリートスナップ (2)インターネット以降のファッション・メディア :情報の迅速性と双方向性 (3)インターネットとファッションブロガー :主体的な発信者の登場 (4)SNS生まれの森ガール (5)ファッション・ジャンルの喪失と量産型の登場 3.Instagramというファッション・メディア 4.SNSとファッション (1)若者のSNS利用に関する実態調査から (2)服から離れたファッション 5.Instagramをどのように研究するか 第8章 ジェンダー・トラブル・イン・アートワールド :日本アート界におけるジェンダーをめぐる問題 1.日本美術界のジェンダーをめぐる問題:教育という視点から 2.アートワールドの労働問題 3.日本美術界におけるジェンダーをめぐる動き 4.未来を創造するガール・アート 5.まとめ 第9章 ジンというメディア=運動とフェミニズムの実践 :作るだけではないその多様な可能性 1.はじめに 2.ジン・カルチャーとフェミニズム:概観と歴史 (1)ジン/ジン・カルチャーとは (2)フェミニズムとジン (3)ジンの先人たち:19世紀から (4)ジンの先人たち:第二波フェミニズム/ウーマンリブ 3.現在のジン・カルチャーとフェミニズム (1)第三波フェミニズム/ライオット・ガール (2)クィア・カルチャー (3)アナーカ・フェミニズム(Anarcha-Feminism) (4)DIYフェミニズム (5)ポスト第三波の現在 4.ジン・カルチャーが本質的に問題とするポイント (1)人種 (2)階級 (3)障害 (4)体型 (5)身体性/生殖 (6)見えなくされている/無力化されている人たち (7)困難・抑圧の交差性・複合性・重層性 (8)教育としてのジン、スペースとしてのジン 5.ジン・カルチャーの展開 (1)ジンフェスト(フェア) (2)ワークショップ (3)ジン・ライブラリー 6.国際的なつながり・ローカルな営み 7.おわりに 第10章 「フェミニズム」と交渉する新しい運動 1.「声」を上げる意味:#MeTooフェミニズムが身近になった瞬間 (1)「声」を上げるまでの道のり (2)「声」を届ける空間を創る:ゆる・ふぇみカフェとは (3)運営メンバーの多様性が企画の多様性へと (4)時代依存的であるからこそ多様な世代と (5)バラバラの価値観をバラバラのままに 2.オンラインとオフラインの活用 (1)ゆる・ふぇみの運営方法(広報):誰に伝えるのか? (2)ゆる・ふぇみの運営方法(内部):どうやって運営していくのか? 3.本を読むこともフェミニズム運動のひとつである 4.フェミニズム運動の現場を知るには (1)調査方法:社会学・文化人類学の方法 :運動参加レポートを書いてみよう。 (2)既存の運動を探し、参加してみる (3)応用編:自分で運動を作ってみる! (4)誰と行動するのか? (5)運動を知ってもらうには? 第11章 女の子による、女の子のためのメディア研究に向けて 1.女の子とメディア文化 2.「ガールズ・スタディーズ」の広がり 3.メディア文化とフェミニズム 索引
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【書籍】〈体育会系女子〉のポリティクス 身体・ジェンダー・セクシュアリティ
¥2,000
■井谷聡子(著)『〈体育会系女子〉のポリティクス ―身体・ジェンダー・セクシュアリティ』関西大学出版部(2021) ※定価は税込み2200円です。 ■概要 「女らしくしろ」「女になるな」 日本の女子選手たちは、男子選手ならば経験することのない、こうした矛盾した要求を突きつけられる。なでしこジャパン、女子レスリング……2000年代以降、かつて「男の領域」とされたスポーツで活躍する女子選手の姿をメディアで多く目にするようになった。 強靭な身体と高度な技能、苦しい練習を耐えるタフな精神力や自律が要求されるエリートスポーツの世界。その中でも「男らしいスポーツ」とされるサッカーとレスリングの世界で活躍するたくましい「女性アスリート」たちはどう語られたのか。メディアの語りから見えてくる「想像の」日本人の姿とは。そこに潜むコロニアリティとは。また、トランスジェンダーへの差別が絶えない社会で、トランスジェンダーやシスジェンダーでない選手たちは、女子スポーツの空間や「体育会系女子」をめぐる言説とどのように折り合いをつけ、スポーツ界に居場所を見出してきたのだろうか。 本書は、日本の女子スポーツ界を取り囲む家父長制的、国民主義的、異性愛主義的、そしてシスジェンダー主義的言説を明らかにし、抑圧の構造に迫る。同時に、その抑圧的環境を創造的に克服してきた選手たちにスポットライトを当てることで、「生きることのできるアイデンティティ(livable identity)」、そしてより多くの可能性に開かれた主体性(subjectivity)のあり方を探る。 ■目次 はじめに 第Ⅰ部 いくつかの前提 第一章 本研究の位置付けと理論的枠組みの検討 1 スポーツとセクシュアリティ 2 国民、身体、ジェンダー 第二章 「男性的」スポーツをする日本女子選手の主体へのアプローチ 1 「男性的」スポーツ―なぜサッカーとレスリングか 2 理論と解釈の枠組み 3 研究方法 第Ⅱ部 メディア言説構築 第三章 男性的スポーツと女子選手の言説構築とそのトラブル 1 マイナーな存在からヒーローへ 2 規範的言説構築―異性愛主義と性別二元制 3 再意味化―変化する「女らしさ」とスポーツの関係性 4 再引用・撹乱・修復―女性のマスキュリニティを規範化する 第四章 「日本人」の身体をめぐる言説とコロニアリティ 1 コロニアリティ(植民地性) 2 帝国主義の時代と不安な身体 3 小さな身体に宿る強い精神 4 米国と女子サッカー 5 女性選手の進化 6 倫理的なでしこと植民地主義的健忘症 7 3.11となでしこジャパン 第Ⅲ部 言説の物質化と身体、主体性 第五章 スポーツと性差別、ジェンダー規範との折衝 1 スポーツとの出会い 2 サッカーとレスリング選手のジェンダー化された主体の構成 3 体育会系女子―女性アスリートの規範的マスキュリニティ 4 「女になるな」 5 モノ・身体・主体性 第六章 シスジェンダー主義、トランス嫌悪、規範的トランス言説との折衝 1 マイノリティ主体をどう語るか 2 同一化、脱同一化、規範的トランス言説への抵抗 3 シスジェンダー中心主義、トランス嫌悪、「男のスポーツ」言説の狭間で 4 体育会系女子から「トランス」へのカミングアウト 終章 スポーツ・フェミニズム・クィア 1 トランス選手とフェミニズム 2 スポーツをクィアする 3 スポーツからジェンダーをクィアする 参考文献
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【書籍】フェミニズムとレジリエンスの政治 -ジェンダー、メディア、そして福祉の終焉-
¥2,600
【紹介】 ネオリベラリズムが蝕む女性たちの生 「仕事も家庭もあきらめないで、すべてを手に入れましょう」「欠点を受け容れ、粘り強く立ち直りましょう」「福祉に頼るのはだらしなさの証拠です」「あんなふうにはなりたくないでしょう?」――映画、雑誌、テレビにSNSと、至るところから絶え間なく響く呼びかけに駆り立てられ、あるいは抑えつけられる女性たちの生。苛烈な「自己責任」の時代を生きる女性たちに課された幾重もの抑圧をさまざまな文化事象の分析を通じて鋭く抉り出す。一九九〇年代以後のフェミニズム理論を牽引してきた著者の到達点にして、待望の初邦訳書。 【目次】 謝辞 序章 第1章 フェミニズム、家族、そして多重に媒介された新たな母性主義 母性的=女性的なもの レボリューショナリー・ロード? 社会主義の理想としての保育園 良い家政(グッド・ハウスキーピング)――家族の生政治 視覚メディアの統治性、母性そして「ネオリベラル・フェミニズム」 第2章 フェミニズムとレジリエンスの政治 フェミニズムからの収益? 競争的な女性性 レジリエンスの政治 『レッド』とレジリエンス レジリエンス批判 「統制的な規範の暴力」(Butler 1997) いくつかの結論 第3章 生活保護からの脱出――女性と「妊娠阻害雇用(コントラセプティヴ・エンプロイメント)」 「生活保護暮らしで寝てすごす」 フェミニズムとニュー・パブリック・マネージメント ジェンダーと反福祉主義 第4章 「福祉国家の呪縛から脱却する」――ジェンダー、メディア、貧困の晒し上げ(シェイミング) ソーシャル・ワーカーとしてのリアリティTV? 『リトル・ブリテン』/ おぞましさ(アブジェクション) ホワイト・ディー 黒人女性、「福祉の女王(ウェルフェア・クイーン)」、反福祉主義のメディア いくつかの結論 註 参考文献 訳者あとがき 索引 line2.gif [著者]アンジェラ・マクロビー(Angela McRobbie) ロンドン大学ゴールドスミス校名誉教授。ブリティッシュ・カルチュラル・スタディーズを代表する研究者の一人であり、ポピュラー文化とフェミニズム理論、メディアとコミュニケーションにかんする研究を専門とする。The Aftermath of Feminism (2009)、Be Creative (2016) など著書多数。本書が初の邦訳書となる。 [訳者]田中東子(たなか・とうこ) 東京大学大学院情報学環教授。専門はメディア文化論、ジェンダー研究、カルチュラル・スタディーズ。主な著書に『メディア文化とジェンダーの政治学』(世界思想社、2012 年)ほか。 [訳者]河野真太郎(こうの・しんたろう) 専修大学国際コミュニケーション学部教授。専門はイギリス文学・文化ならびに新自由主義の文化と社会。主な著書に『新しい声を聞くぼくたち』(講談社、2022 年)ほか。
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【講座映像販売】緊急企画!香港のインターセックス当事者ドクター・スモール(細細老師)さんトークセッション【ふぇみ・ゼミ&カフェ トークセッションvol.2】
¥1,500
本商品は2023年度に開催された「緊急企画!香港のインターセックス当事者ドクター・スモール(細細老師)さんトークセッション」の録画映像です。ご購入いただいた方には、メールにて動画視聴用URLをお送りいたします。なお、視聴期間は映像をお送りした日から2週間です。 ■配信動画の視聴に関する注意事項 映像・資料のコピーライトはふぇみ・ゼミにあります。 無断転載は固くお断りいたします。 もしそのようなことが起きれば、ただちに配信は停止します。 参加者間の信頼の上で、映像配信が成り立つことをどうぞご理解ください。 ■講座概要 香港のインターセックス当事者ドクター・スモールは、生まれた時に見た目に性別を身体の判別しにくかったことから、8歳の時から両親と医師によって20数回もの性器形成手術を受けさせられることになりました。 なぜ、自分自身の意志を無視して医療的介入を受けなければならなかったのか、その後の人生を通じてずっと問い続けておられます。 現在は漢方医として活躍するかたわら、インターセックスについての正しい認識を広めると共に、本人の自己決定を無視した身体への医療介入を批判し、性別を本人が決める基本的な人権を求める活動しています。 今回はそのドクター・スモールをスペシャルゲストとしてお迎えいたしました。